そも、デリカシーとは

こんにちは、最近寒くなってきたからか、お味噌汁が美味しく感じる3回生ナダルです。

 いやはや、この季節というのは厭なもので、s棟やら大道具置き場やらに隣人が張り付いていることもしばしば。  只そこにいるだけならまだしも、彼らは遠慮というものを知りませんで、そこかしこを我が物顔で占拠する始末。  ははぁ、この惑星は虫の物であったかと膝を打たんばかり。自分は道鏡ではありませんので、三膝叩くとは流石にいきませんが。  また、秋の鈴虫のように「遠からんものは音にも聞け」とまで主張はせずともその存在感は無視できぬ程でありますから、はっきり言うと迷惑極まりない。  勿論、彼らに悪気なんて物は皆目無くて、不快な匂いも進化の末に得た自己防衛という解答の一つなのでしょう。寧ろ、暴力に訴えず敵を撃退するというのだから、全くもって平和主義者。  いやぁ、本当に素晴らしい。平静に生きたいという願望は須く生命が持つ物でありますから、自分はそれを否定はしません。彼らも生きるため暖を取っているだけですからね。我慢するしか無いでしょう。

 しかし、自分には一つ、一つだけですが我慢ならない事があります。  それは、そう自分ことナダルが万において、

 あたかもデリカシーのない人間であるかのように喧伝されている事です。  自分がデリカシーの欠如した人非人であると後ろ指を刺される事です。  デリカシーと言うものを履き違えた奴輩だと烙印を押される事です。  デリカシーに唾吐く不敬の輩と奇異の目で見られる事です。  デリカシーなぞなにするものぞと乱心していると誤解される事です。  デリカシーという万民が持つべきものを知らぬ無知蒙昧と嘲られる事です。  デリカシーを敢えて無碍にする婆娑羅者と揶揄われる事です。  デリカシーを理解できぬ性癖なのだなと憐憫を向けられる事です。  デリカシーを礼賛する現代社会に対してのアンチテーゼと捉えられる事です。

  私に。この私に、デリカシーが無いなどという、笑い話にもならない事を真しやかに噂する非道い人が、関西大学演劇サークル 劇団万絵巻に少なからず存在する。

  私には、それがどうにも我慢ならない。

 確かに、自分自身のエピソードを鑑みるに狭量かつ閉鎖的で浅慮極まりなく印度人も慄然っ引きの厚顔で甲虫的宇宙観を内包する新進気鋭の一大主観に基づく視座から見れば私にデリカシーが無いと言うことも不可能では無いでしょう。  あまりにも普通の人間からかけ離れた人々の思考ですが、私は彼らとは違いマイノリティにも理解ある人間ですので、たとい理解できなくとも執拗に排斥しようなどとは決してしません。  しかし、彼らは私には当然にできる事があまりにも難しく感じるようで、自分自身と他人との違いを認める事がどうにもできないようなのです。人間性の獲得には自他の違いを明確にする事が不可欠。また、そこから互いを許容していく事で社会性というものが構築されていくのです。  さて、ここで重要なのは上記に記した通り、彼らは他者を受け入れる事ができず、自分自身の短絡的な主観に拘泥し非人間的かつ非社会的思考でもって原始的喜びを満たそうとしている点です。

 そも、デリカシーとはdelicate、つまり「繊細」と言う言葉が語源になっています。さらに元々は「大いに(de)人を魅惑する(licatus」」事がこの言葉の成り立ちであり、「優美」であることや、「相手を喜ばせる」といった意味合いを持ちます。それが現在では「配慮」と言う形で使われているわけです。

ここまで読めばお気づきになられるでしょう。

 そう、デリカシーがないのは私では無く、私にデリカシーがないと喧伝する人々の方である事を。

 確かに、私のかつての言動はその場を恣意的に切り取り都合よく曲解された場合、デリカシーが無いと言われても仕方がないと認める事も吝かではありません。その程度の度量、持ち合わせなければ私が人間的に不熟であるという誹りを受ける羽目になりますから。  しかし、私は過去を振り返り猛省し自分以外の価値観を認める努力をしています。それが、「デリカシーを持ち合わせる人間」として当然のことだからです。  一方。彼らは未だに私の価値観を認めようとはしません。いえ、そんなものが存在するとさえ想像してはいないのでしょう。彼らにとっての世界はすでに完成されており、シミひとつなく一部の隙もない、一筋の瑕疵すら存在を許されない。そんな幸せな宇宙観に浸っている彼らには「デリカシー」の何たるかを理解することはできないでしょうし、する必要もないのでしょう。

  とまれ、私は彼らを心底軽蔑し、見下し、唾棄し、嫌悪し、侮り、憐れみ、、、そして許しましょう。

  そうして、認めるのです、

これが、「デリカシー」であるが故に。

ちなみに、今回の卒公は自分も役者として参加します!! めちゃくちゃカッコいい役なので、稽古期間中、本番問わず、是非ぜひ見に来てください!!!!