カーテンコールと、笑顔のために
卒業公演を打てるのか、やりたいのかやるべきなのか。気づいたら稽古開始日が迫っていて、大慌てで準備を始めたのが、もう三ヶ月も前のことだなんて。
この三ヶ月は息をつく間もないほど忙しくて、そして本当に、心の底から楽しかったです。
今公演は演出補佐・照明チーフ・衣装チーフ・映像チーフ・編集長(!?)という五人分の作業を任せていただきました。もちろん自分一人の力だけで全部こなせるわけがなく、いろんな人に迷惑をかけてしまったなあと思います。それでも怒ったりせず手出しもせずに笑って見守ってくれた演出や同期・後輩には、感謝してもしきれません。本当にありがとう…!!!
せっかくなので、それぞれやったことや見所を語っていこうかな。
まず演出補佐。演出補佐をした4回の公演の中で、一番気楽にできたかも。どの役もすごくかっこよくて、役としっかり向き合える役者さんがたくさんいて、演劇してるな~と実感することが多かったです。舞台的な見栄えやテンションはもちろん大事で最低限必要なことだけど、やっぱりキャラクターの感情の流れに合わせた演技の仕方、感情の表現の仕方を考えるのが楽しくて好きで、そういう感情面を主に任せてもらえたことが嬉しかったし楽しかったです。
照明チーフは何度も経験してきましたが、小屋入りしてから過去最高に忙しかったです。上演時間が長いので明かりを作るのにもめちゃくちゃ時間がかかって、もうとにかく時間がない!さらに舞台上に白い幕がたくさん吊られていて、シーンごとに場所が違うという。幕に照明が当たるとかなり印象が変わったりするので、ここも苦労しつつ、うまく使えたんじゃないかと思います。ライブ配信を前提とした明かり作りも初めてで、モニター越しの印象と実際の見える色の違いがすごく難しかったです。
(1ステ後のアンケートで照明についてたくさん褒めていただけて、少し自信がつきました。見てくださった方の言葉は本当に励みになります、ありがとうございます!)
衣装チーフは三人で一人でした。プラン作ったりと主な仕事は私が担当してます。好きなようにデザインできて本当に楽しかった!一番気に入っているのは主役のトキサダの服で、重量感のある肩のひらひらが殺陣の時に映えてかっこいい!重みを持たせるのと綺麗に広がるようにするのはめちゃくちゃ大変でした。あと、後輩が作ってくれたイエヤスの羽織も好きです。映像越しで伝わるかはわかりませんが、地味にこだわったのが7人岬の衣装です。袈裟の丈や構造が少しずつ違っていて、全員揃った時にちょっとずつ違う動きをしていて面白い!ぜひ注目して見てください。
映像チーフなんて最初はなかったのに、気がついたら映像作ってました。OPのパフォーマンスに合わせて映像を投影します。幕の置く位置によって写り方が大幅に変わるので、毎回変わって大変です。正直本番もうまくいくかわかりませんが、隣の映像卓を密かに応援しています。
編集長(!?)は特に思い入れはありません。公演を見てくださった方々が口を揃えて上演時間の話をしているように、今公演なかなか長いです。でもこれ、だいたい一時間半ほどカットした結果なんですよね。この超大作+一時間半となるとオペ陣の腰が限界を迎えそうだから、良い仕事した気がします。
…と、どの仕事も楽しんで取り組めた良い公演でした。
このメンバーで卒業公演を打ったこと、配信でいろんな人に見てもらえること、私たち24期生が卒業すること。生きている中でこれまでもこれからもいろんな選択があって、その中で今この最高のメンバーで卒業公演ができたことは、やっぱり繋ぎ合わせた奇跡なんだと思います。
毎日の稽古が辛かったとき、初めて演出をやったとき、いろんな場面で間違った選択をしてしまったんじゃないかと一人で泣いた過去の自分へ。自由でめちゃくちゃで真面目な同期と、そんな私たちを支えてくれる可愛くて頼れる後輩と、こんなにも楽しい二ヶ月間を過ごすことができたよ。演劇を始めて、万絵巻に入ってよかったと心の底から笑える日が、私にもやっと訪れたよ。
全てをかけた卒業公演、キラキラの照明とカーテンコール。舞台上でやりきった笑顔の後輩たちと、最後に一列に並んで誇らしげに笑う同期たち。
私が演劇をやっていて一番好きな空気、その瞬間も、あと一回。
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2020年度卒業公演「あやかし」
12/6(日) 12:30~
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